「初盆」という言葉をご存知ですか?
故人が亡くなられて四十九日を経過後、初めて迎えるお盆のことです。
「新盆」と呼ぶこともあり、仏壇があるご家庭ならご存知かもしれません。
私の家にも仏壇はありますが、実家になかったせいかあまり仏様に関しては詳しくありません。
でも5年前に義祖父が亡くなり、初めてこの行事の意味を知りました。
スポンサーリンク
初盆の祭壇の飾り方は?
大切な人が亡くなって、初めてのお盆を迎えるにあたり、大切な人だからこそ、きちんと準備してお迎えしたいものです。
地域や宗派によって違いがあるようですが、基本はだいたい同じようです。
通常のお盆の際には、ご先祖様が家を間違えることなく帰って来れるように家紋入りの
提灯を飾るのが一般的です。
新盆ではその提灯が特別なものに代わり、「白提灯」または「白紋天」と呼ばれています。
そして7月か8月の13日になったら、仏壇とは別に「盆棚」または「精霊棚」と呼ばれる祭壇を作ります。
時期は地域によって異なります。
祭壇といっても、お葬式のような立派なものである必要はないので、ご家庭で大きさなどを決めて必要なものを飾るといいでしょう。
飾り物の一般例ですが、故人が生前好んでいた物(菓子や果物)・花・精霊馬(きゅうりやナスで作る馬や牛に見立てた人形)・そうめんや水・ご位牌などです。
ご位牌を盆棚に移したら、仏壇の扉は閉じておきましょう。
あくまで一般的なものですので、他にも丁寧に飾る地域では、笹竹を祭壇の四隅に立てて縄で結びその縄にほおづきを吊るした結界を作ったりします。
初盆の祭壇の飾り方で浄土真宗の場合は?
各宗派によって飾り方が違うとご紹介した通り、浄土真宗は他の宗派とは異なり、非常にシンプルといえます。
初盆だからといって特別な飾りや形式はないのです。
これは浄土真宗の教えに基づくもので、地域などに左右されない考え方ともいえるでしょう。
浄土真宗では、死者は亡くなるのと同時に阿弥陀様により浄土に導かれて往生し、仏になられたというのが考え方で、特にお盆の時期に帰ってくるという方ではないという教えです。
だからといってお盆の時期に何もしないというのは・・・という考えもあるでしょう。
形式にとらわれず、時期が来たら提灯を下げておく地域もあるようです。
僧侶にお参りいただくなら、法事のように打敷と呼ばれる三角の布を仏壇にかけ、和ろうそくとお線香を準備しておき、仏花や果物をお供えするだけで充分といえます。
この浄土真宗の教えは、「ご先祖様の供養」というより「ご先祖様へ感謝」にあたります。
これといった決まりごとがない宗派ですが、感謝の気持ちを日々伝えるのが何よりの供養になるという教えは学びたいものです。
初盆の祭壇の飾り方で曹洞宗は?
先に述べた浄土真宗とは少々対照的とも感じ取れるのが、曹洞宗です。
お盆での飾り付けをする例をご紹介したように、仏壇の前や部屋の隅に盆棚(精霊棚)を設けて飾ります。
用意するものとして、「こも」と呼ばれるイネに似た植物を編んで作った敷物・苧殻(迎え火や送り火用の薪などに使用)・精霊馬・盆棚を覆う白い布・お膳などです。
これだけのものをどこにどのように飾るかというのは、初盆の時期が近づくとお寺から連絡が来ることが多いのでその時に聞いてみるのが一番いいでしょう。
基本的には、盆棚を白い布で覆い、その上に飾り物やお供え物を配置します。
中央部にこもを敷き、果物やそうめんなどのお供え物を置きます。
精霊馬も飾りますが、ご先祖様を迎えるときは仏壇に向け、送るときに外側に向けて置きましょう。
また、お膳ですが配置なども決まっているのでお寺に確認したり家人に聞いたりして配置しましょう。
その時、箸は仏様の方に向けて置きます。
ご位牌も盆棚に移して置き、仏壇の扉は閉じます。
迎え火は、地域により日にちが変わりますが玄関前やお墓で「焙烙」と呼ばれる素焼きの土鍋の上に、苧殻を置いて燃やします。
送り火も15日頃に同様に行い、終了後にお供え物を風呂敷などに包んでお寺に持っていきます。
【関連記事】
初盆についてのあれこれをまとめました。
まとめ
初盆・お盆と一口にいっても、たくさんのしきたりや行事が宗派ごとにあるということが分かります。
飾り付けやお供え物も大事ですが、ご先祖様を敬い感謝するという、生きている者の気持ちが何よりの供養になるようです。
これを機に、風習やしきたりを踏まえたうえでご先祖様への感謝の気持ちを込めて今年のお盆を迎えたいですね。
スポンサーリンク